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2023.11.17.Fri

       

新卒研修は何をする?カリキュラム作成方法や実施のポイント解説



「新卒研修のカリキュラムを変更することとなったが修正すべき内容が見えない」
「社会情勢の変化に合わせた新卒研修の実施を指示されたが組み立て方がわからない」
「新卒研修を内製化しなければならないが、社内にノウハウが全くない」

多くの社会人が一度は当事者として新卒研修を受けています。自らの経験から、社会人としてスタートするのに新卒研修はとても重要だということは理解できます。しかし、時代が大きく変化する中で「同じような研修を続けていて良いのか」という不安を感じている経営者や人事担当者は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、新卒研修カリキュラムの具体的な作成方法や、実施する際のポイントについて解説していきます。新卒研修を見直したり、新しく実施する際の参考にしてください。

研修カリキュラムを作成するプロセス


内定者フォローIoTやAIなどのデジタル技術が驚異的な発展を遂げる2020年代から、先行きの見通しがたたず、未来を予想するのが困難な「VUCA」の時代に突入したと言われています。 (※VUCAとは「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字の略です。)

2010年代までは問題解決の施策として重用されていたPDCAは、過去の成果や経験に基づいて、修正を繰り返しながらアクションを行う方法であるため、スピードや柔軟性が求められるVUCA時代には機能しなくなりました。
そこで注目を浴びているのがOODAループです。(※OODAループはウーダループと呼びます。「Observe(観察)」「Orient(状況把握)」「Decide(意思決定)」「Act (行動)」の頭文字の略です。)
戦況が刻々と変化する軍隊の体験をもとに作られているため、状況の把握から判断、行動へのアプローチの早さが特徴です。

ここでは、OODAループの考え方を基に新卒研修のカリキュラムを作成していくプロセスを解説いたします。

Observe(観察)


データ分析の時代において「観察」は情報収集から始まります。新卒研修が実施されている現在の状況や問題点を幅広く集めることが肝要です。
もし新卒研修を実施した後の効果検証を行っていないのであれば、早急にアンケートを実施し、状況把握に必要なデータを収集してください。
アンケートを取っている時間がない場合は、まず世の中に公開されているデータを活用しましょう。例えばSMBCコンサルティング株式会社では、2023年春に開催した新入社員研修参加者2,464名に対してアンケートを行っています。

「自分に不足している能力について」という質問に対して、「自分の意見をわかりやすく伝える力」「他人に働きかけ巻き込む力」「新しい価値を生み出す力」という回答が上位にランクしています。この状況から「自ら主体的に行動すること」への苦手意識を持っていることが伺えます。
参考URL:https://infolounge.smbcc-businessclub.jp/articles/961

Orient(状況把握)


「観察」により収集した情報から問題点や改善点が見えてきたら、状況把握の段階に進みます。
立場によって状況は違いますので、3つの視点から把握していきましょう。

経営陣の期待値に関する状況把握

AIやIoTなどデジタル技術の進化により、今まで人間が行うべきとされていた「接客」のような分野においても、ルーチンワークを機械に任せるようになりました。
今後、人間でなければならない役割は、創造力を求められる仕事に限られるようになるでしょう。
この例のようにそれぞれの業界において、ビジネスを再構築する必要性が生まれています。データ活用やAIについての深い理解がなければ、業務遂行が難しくなるような経営計画も多く含まれるでしょう。今までの常識を覆すわけですから、新卒社員にかかる期待はよりおおきくなっています。時には、配属先で率先して新しいことに取り組む力も求められるようになるでしょう。
経営陣が考える企業の方向性を把握し、新卒社員に対してどのような役割を期待しているのかを把握しなければ、カリキュラムを作成することはできません。

配属先の職場における状況把握

新卒社員において大きな役割を担っているOJTの場において、どのような指導がされているのかについて、徹底的に調査しましょう。
現場の人がやりがちな指導として「研修で学んだことはビジネスの現場では役にたたない」という理論を基に仕事の厳しさを教えることがあります。しかしこれでは研修を受けた新卒社員に「研修を受けた時間が無駄となり、効率が悪い」という印象を持たれてしまいます。
新卒社員のモチベーションアップという意味でも、新卒研修とOJTとの間で一貫した指導が行われるようにしなければなりません。

例えば、多くのマナー研修において名刺交換のシミュレーションが行われています。しかし実際のビジネスの現場では、リモートでの商談やMtgが増えており、名刺交換をする場面はほとんどありません。一方でリモート会議の場での初対面の挨拶マナーが求められるようになっています。

「相手が目上であれば、差し出された名刺よりも少し低い位置で差し出す」
「名刺を受け取るときには、頂戴しますなどと発声する」
「名刺を両手で受け取る」
「商談中は、もらった名刺を自分の名刺入れの上に置いて見える場所に置いておく」

臨機応変な対応をするには、上記のような名刺交換の所作の裏側にある、ビジネスシーンのマナーの真理についての理解が必要です。
例えば名刺交換の所作には、下記のような真理が基本にあります。

「相手を敬い尊ぶ気持ち」
「個人情報は丁寧に扱うというコンプライアンスへの意識」

現場で求められる柔軟な対応ができるような研修を行わないと、現場で求められる水準には達していないこととなります。
新卒社員の研修カリキュラムを迅速に決定するためにも、状況把握は徹底的に実施しましょう。

新卒社員が受講できて良かったと考える研修カリキュラムの把握

新卒社員が「配属された後の業務で研修の内容が実際に役立った」と感じているかどうかについて把握する必要があります。ほとんどの既存社員は研修の内容を忘れてしまっていますので、実施された内容を具体的に提示したうえで、アンケートに答えてもらうようにしましょう。
受講前には無駄だと思っていた研修カリキュラムが、実は業務を始めてみたら有効であったといったような事例があれば、その理由までしっかりと調査したうえで、積極的にカリキュラムに取り入れるようにしましょう。
そして、毎年新卒研修が行われる前に、何故この研修が大切なのかを説明する資料として活用するようにしてください。

Decide(意思決定)


状況が把握できたら、その内容を基に問題点を洗い出し、新卒研修のコンセプトを決定します。
コンセプトが決定したら、多数存在している新入社員研修のメニューの中から、自社にマッチするカリキュラムに組み立てていくという作業を行います。
この時に重要になってくるのは、それぞれのメニューを実施することにした背景(現在の姿)、実施後の目標(あるべき姿)を定めておくことです。
最後に効果検証を行う際に必要となりますので、詳細まで詰めておくようにしてください。

Act (行動)


研修のカリキュラムが決まったら、目的達成のために最適な実施方法を選択し、いよいよ実行する段階へ進みます。
ここでは具体的に6つの手法と実施ポイントについて解説いたします。

OFF-JT

OFF-JTとは、「Off-The-Job Training」の略です。実際に働いている職場を離れて行う教育のことを指しています。
具体的には、外部講師による集合研修や外部研修会社の行っているセミナーへの参加、自宅で行う通信教育やe₋ラーニングなどが該当します。
一度に多数の社員に対して実施することができるため時間効率がよく、品質の標準化が図りやすいという面で優れた手法であり、リモートでの実施も容易です。
一方で、個々の習熟度に合わせた対応が難しく、実戦での活用方法がイメージしにくいというデメリットもあります。
実施ポイントとしては、リモートを積極活用して研修後の習熟度のチェックを行う必要性があることが挙げられます。

OJT

OJTとは「On-The-Job Training」の略です。実際に働いている職場での業務を通して行う教育のことを指しています。上司や先輩社員が部下と一緒に職務を遂行していくことで、その都度必要な知識やスキルを学んでいきます。
教育担当がそれぞれ異なりますので、標準化を求めるのは難しい手法です。実施の目的は、研修でインプットした基礎力を用いてアウトプットする際、アドバイスや指導を受けることで、応用力も兼ね備えたスキルとして定着化させることとなります。
実施ポイントとしては、教育を担当する先輩社員に負担を掛け過ぎないようにしながら、一方で、属人的にならないように習熟度をチェックすることです。

ロールプレイング

ロールプレイングとは、「role(役割)」と「playing(演じる)」を組み合わせた造語です。実際に働いている職場で経験する場面を想定し、それぞれに店員や顧客などの役割を与え、その役割になり切って演じることで課題を明確化することを目的としています。現実にはなかなか起こりえないが、重要な場面などを自由に設定できるため、スキルアップできることが特徴です。
具体的には、名刺交換やクレーム対応などを繰り返しおこなうことでスキルを習得していきます。
実施ポイントとしては、新入社員同士ばかりで行うと馴れ合いになるので、上司や先輩などが参加させて緊張感を維持させることです。

ケーススタディ

ケーススタディは日本語で「事例研究」と表現します。実際に起きた事例を分析、検討し、疑似体験を積み重ねていくことで、その背後にある法則や傾向を究明していく研究手法のことを指します。
研修の場においては、ケーススタディを重ね、考察することで、問題解決力や創造力を磨いていきます。
実施ポイントとしては、過去の事例だけでなく、今後起こり得る問題に対しても考察することで、応用力を磨いていくことです。

ゲーム・レクリエーション

ゲームとは、勝ち負けを争う競技を指します。レクリエーションとは、自発的に娯楽として行う様々な活動のことを指します。研修の場においては、面白いと感じやすい慣れ親しんだ手法を用いることで緊張感をほぐして、コミュニケーションを活性化させるために使用されます。
また、あえてビジネスとは関係のないことに対する取り組み方をみて、個々人の特性を見極め、配属先を決める参考にするといった利用の仕方もあります。
具体的には、「人をまとめるタイプ」「論理的思考ができるタイプ」「発表するのが上手なタイプ」などといった特性を見極めていきます。
実施ポイントとしては、実施目的に応じたゲーム・レクリエーションを選択した後は、理論をしっかり理解した外部の講師を積極活用することです。

グループワーク

グループワークとは、研修だけでなく面接などでも用いられる手法です。5名前後でグループを形成し、与えられたテーマについて議論を交わし、最終的に結論を導き出し、成果物として発表するまでの一連の作業を行います。
似たような手法としてはグループディスカッションがありますが、こちらは議論や話し合いに焦点が当てられており、成果物まで導き出すところまでは求められていません。
実施ポイントとしては、新卒社員が苦手意識を持っている「自ら主体的に行動すること」を実践しないで、協調性や共感力、ロジカルシンキング力だけを用いていては、良い成果物には至らないことを体感させることです。

研修内容を定着化・習慣化させるために


研修にとって一番大切なことは、知識や行動の定着化・習慣化です。しかしほとんどの会社において効果検証や後追い研修などは実施されておりません。
2020年にHR総研が行った「新入社員研修に関するアンケート調査」によれば、約6割の企業が新人研修における効果を測定するためのKPI(重要業績指標)を設定していません。
参考URL:https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=278



つまり、新卒研修以降は現場でのOJTによる習得を、上司が評価するのみとなっています。
OODAループを着実に実行するためには、研修後も人事主導で観察を行い、どの段階で効果が薄れているのか、などといった状況把握を行うべきです。
そのために、新卒研修のカリキュラムは、入社直後もしくは入社して半年といった短い期間ではなく、1~3年といった期間の中でスケジュールを決めて設計する必要があります。
ここでは、今後活用方法を見直して、積極的に取り入れるべき3つの実施方法について考察いたします。

オンラインの活用


コロナ禍において、ZoomやTeamsといったweb会議ツールを用いたオンラインでの研修は飛躍的に活用されるようになりました。しかしほとんどの場合は、オフラインでできなくなった事の代替に過ぎません。講師にとってオンラインでの研修は受講生の反応を感じることが難しいのでやりづらいとか、自分の周りには誰もいないため緊張感を維持し辛いといったデメリットもあり、研修をオフラインに切り替えたいと考えている企業も多いでしょう。
しかし、オンラインならではのメリットを活用すれば、下記2つの理由により、今まではOJTの現場に頼っていた研修内容の復習をカリキュラムに組みこんでいくことが可能となります。

時間と場所を選ばない

オンラインでの研修は、インターネット環境さえあれば時間と場所を選ばずに実行することができます。通常の業務を中断する必要がないため、職場に迷惑をかけることもありません。一か所に集合する必要がないので、交通費や宿泊費も発生しません。コスト面を気にすることなく、研修効果の最大化を考えてカリキュラムを考えることができるようになります。

時間と場所を選ばない

知識や行動を定着させるには繰り返し学ぶ必要があるわけですが、企業が持っているマニュアルや講義資料さえあれば、研修用動画を作成して、繰り返し視聴することも可能となります。

SNSの活用


入社前の内定者フォローのためにSNSを活用し、情報伝達を行ったり、オンライン学習を行ったりする企業が増えています。企業と新卒社員との間だけでなく、同期同士のコミュニケーションを密にすることが目的ではありますが、このコミュニティを入社後も継続させて研修の効果検証を行うことが出来ます。
アンケート用紙を作成して一斉に状況を把握したり、リモート機能を活用してインタビューを行うといった活用方法です。 研修時には理解できなかった内容も、実際に仕事をするようになって理解できるようになったこともあるでしょう。その理解に果たして新卒研修は寄与しているのでしょうか。そんな時に人事は直接新入社員に対して、当時はどうして理解できなかったのかについての理由を聞くことができます。

注意すべき点は、配属現場はいつまでも人事と新卒社員がつながっていることを監視されているように感じて嫌う、ということです。現場と人事との間にトラブルが発生しないように、内容をある程度公けにする必要があります。一方で、あまりにも公けにしてしまうと「人事に語ったことが上司に筒抜けになっている」と感じ、本音を言わなくなってしまいます。新しい試みですから「今後どのような運用方法が良いのか」について、関係者が意見を交わしながら最適な活用方法を探っていくしかないでしょう。

フォローアップ研修のあり方を変える

フォローアップ研修とは、研修が終了して一定期間が経過した後で行う研修です。研修で学んだ内容が実行できているかを振り返ったり、自己成長のための課題設定を行ったり、実務での成果を発表したりといった内容で実施されることが多いようです。 新卒社員にとって、入社直後の研修の場は実際に仕事をした経験がない状態であるため、研修の内容は理解できても実感がなく、どこか他人事で終わってしまうことは避けられませんでした。一方でフォローアップ研修は、実際の業務を経験しているため、体感を通じての理解ができたり、知識の定着を図れたりといった教育効果が高くなります。
今までのフォローアップ研修は、同じ受講者と同じ講師が再び一か所に集まり、実施されてきました。しかし、オンライン研修が常態化したことで、様々な方法が検討できるようになりました。

極端なことを言えば、新卒社員が毎月オンライン上で一堂に会し、フォローアップ研修を行うことも可能です。この場合は新入社員が抱える不安やストレスを解消し、モチベーション向上することも、人事担当者にとっては大きな目的となるでしょう。 OJTとの相乗効果を最大限にするためには、どのようなタイミングで、どのような頻度で行うべきなのか、試行錯誤を繰り返し、最適解を求める必要があります。

予め効果検証の内容を決めておく

VUCA時代に合わせ、全く新しく新卒研修のカリキュラムを作成するわけですから、当然試行錯誤を繰り返すこととなります。その時に大切になるのは、予め立てた目的・目標が達成できているかどうかの効果検証について内容を定めておくことです。
そして、研修を受けた社員からだけでなく、新卒社員が働いている職場からのフィードバックも情報として収集し、次の施策に活かしていく為の設計を予め行っておくようにしてください。

7つの研修メニューについて


ここでは、代表的な7つのメニューについて解説いたします。

学生から社会人への意識改革


新卒社員はよく「学生気分が抜けない」と評されますが、そもそも学生気分とは何を指しているのかを示さなければ、言われた方は困惑するだけです。
ひとつの回答として「社会人は主体性を持った行動が求められる」ことが挙げられます。
学校は基本、知っている人(先生)から知らない人(生徒)が学ぶ場です。言われたことを忠実にこなしていくことが良いとされます。
一方で社会人は、受け身ではなく自分から主体性と責任感をもって、人や物に働きかけることが求められます。言われたことをそのまま指示通りに行っているだけでは「学生気分が抜けない」と言われ続けることになります。

学生から社会人への意識改革において効果的なこととして、ビジネス(お金)の流れを理解することが考えられます。
製造業を例に考えてみましょう。
製造業はまず、原材料を仕入れるところから始まり、加工、製造(組立)を経て、ようやく商品が作られます。
作られた商品は在庫として管理されて、営業職が注文を取ることで出荷につながっていきます。
ここでお金が入るかというと、実はそうではありません。会社間のお金のやり取りは基本金融機関を通じて行われるので、実際に企業にお金が入るのは少し先(取引サイトの理解)になります。
またスタート時点に戻ってしまいますが、そもそも工場がなければ原材料を仕入れても商品を作ることはできません。

製造業とは、工場を作るのに莫大なお金を払い、さらに原材料を仕入れるお金を払い、商品になるまで時間がかかり、商品が売れても入金されるまで時間がかかるというビジネスモデルなのです。
このように、会社のビジネスが成り立っている仕組みを理解することで「今何をすべきなのか」「仕事上で注意すべきことは何か」などの気付きに役立つでしょう。給料が毎月支払われていることのありがたみについても、感じることができるはずです。

ビジネスの仕組みは、言葉で伝えるよりも自らが経営について体感できるゲームやレクリエーションを利用した方が伝わりやすいので、積極的に活用してください。

ビジネスマナー・ビジネススキル


ビジネスマナーとは、服装などの身だしなみ、挨拶の仕方・言葉遣い・名刺交換の所作といった外見的な見え方から、電話・メール対応や報告書などの文書作成、冠婚葬祭や接待におけるマナーなど、多岐にわたります。
おそらく新卒社員には、何故マナーやルールを守らなければならないのか、理由がわからないはずです。しかしもともとは、人との関わりの中で仕事をすすめることが多いため、相手を不快にさせないようにしていた行為からマナーは生まれています。
マナーには今でも、同じルールや常識が通用する相手であることを伝える役割を持っています。マナーが守られているということは、共通のビジネスルールが守られていることを相手に伝えることになります。
逆にルールやマナーを知らない人とビジネスを行うということは、お互いのビジネスルールが同じではないということの証です。従って、ビジネスを始める際には、まずそのすり合わせから始めないといけないということになります。

一方で、新卒社員が現場に配属になった際、「そんなこともできないのか」と上司や先輩に言われて自信をなくしてしまわないように、ビジネスマナーの本質だけでなく、実技についてもロールプレイングで徹底的に鍛えましょう。
新卒社員にとってはマナーやスキルを身に付けることで、社会人の一員としての自信が持てるようになります。そして、場数を踏むことで責任と自覚が芽生え、自らの力で成長することができるようになるのです。

専門知識・スキルの習得


株式会社ラーニングエージェンシーが2017年に実施したアンケートによると、配属先である現場の上司や先輩は、新入社員のうちに身に付けておくべきスキルとして「汎用的なスキル」を挙げています。


参考URL:https://www.learningagency.co.jp/column_report/research/research_26_170508.html

一方で新卒社員が身に付けたいと考えているのは「専門スキル」であり、ここに新卒社員と先輩社員とのギャップが生まれています。


早い時期から専門スキルを身に付け、一日も早く活躍したいという新卒社員の意気込みを無視してしまっては、モチベーションダウンになりかねません。
意欲の高い新卒社員向けにオンラインのOFF-JTを活用し、自分で学ぶことができる自主学習の場を設けるようにしましょう。
この場合、全てを学ばなければならない最低限の期限を定め、学習進度は自主性に任せるという手法を取ると良いでしょう。集合研修時に自習の時間を設けて、自主性を促すのも効果的です。修了後には必ず試験を実施し、習熟度を測るようにしてください。もちろん習熟度が低ければ手法を見直す必要があります。
先輩社員にも実施して、習熟度が低い社員には新卒社員向けのオンラインを受講させるなど、効率的にコンテンツを利用することも検討してください。

コンプライアンス・法律


コンプライアンスとは「企業が法令を守ること(法令遵守)」のことを指します。 法律的な観点で遵守しなければならないことだけでなく、倫理的な観点でも企業の姿勢を問われることが増えており、学ぶべきことも日々変化しています。
個人情報保護法や労働基準法など、全ての社会人にとって必要な法律もあれば、特定商取引法や貸金業法など、業界ならではの法律も存在しています。
現状の内容だけでなく、制定された背景や改正の歴史などを伝え、法律を通じてその業界で仕事をする基本姿勢を理解させなければなりません。

また、入社直後の新卒社員は業務上でどのように法律が関係してくるのかを想像することはできません。OFF-JTで知識を学んだ後、フォローアップ研修において定期的にケーススタディなどを行い、実践的な知識として定着させましょう。

SDGs


SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。世界中の人が誰一人取り残されないような、持続可能な社会を実現することを目標としています。企業が担う「持続可能な社会の実現」への責任として、「企業の営利活動が自然環境に悪影響を与えず、企業活動を続けられること」を目指す必要があります。
直接業務には関係のない内容なので、果たして研修で学ぶべきことなのかという疑問を持つ人もいるでしょう。
しかし、自分が勤めている会社が存在する社会的意義を理解していることは、新卒社員が今後仕事上でぶつかるであろう様々な壁に対しても、モチベーションを維持して乗り越えようとする原動力になります。
入社直後の研修ではグループワークを通じて、自社の社会的意義について考えてみると良いでしょう。その上で、実際の業務において社会的意義を感じた事例を、SNSなどで共有するようなカリキュラムを組むと、働くことの意義について実感できるようになります。

ITリテラシーの習得


DX推進やデータ活用が遅れている会社にとっては、新卒社員のITリテラシーを研修で高めた上で現場に配属させれば、会社全体にDX推進やデータ活用が浸透させる効果が期待できるため、絶好の機会となります。社内にITスキルの高い社員がいないのであれば、外部研修機関を活用して研修を実施しましょう。
例えばダイキン工業株式会社は、AI・IoTの活用推進のために社内に「ダイキン情報技術大学」を設立し、独自のカリキュラムを運営しています。
具体的には、大阪大学などの教育機関から講師を招き、AIリテラシー向上のための啓発教育を行う「AI活用講座」、技術者を対象とした「AI技術開発講座」、「システム開発講座」などを実施しています。
新しく会社が生まれ変わるためには、新しい力が必要です。せっかく時間をかけて新卒研修を行うのであれば、柔軟な考えで会社最適を考えてみてはいかがでしょうか。
参考URL:https://www.daikin.co.jp/csr/feature2019/04

リーダーシップ研修


社会人にとって最も大切なことは「主体性を持った行動」です。それを学生が持ち合わせていないのであれば、新卒研修からカリキュラムにリーダーシップ研修を入れるべきです。 リーダーシップはマネジメントと同義ではありませんので、研修対象はマネージャー職に限りません。周囲の同僚(上司や先輩も含む)対して、ビジョンや目的、方向性に皆が向かっていけるように主体的に影響を与え続けることは、管理者でなくても実行できるからです。
DX推進やデータ活用を進めて、新しい時代に即したイノベーションを起こすことを考えているのであれば、新卒社員であっても現場でリーダーシップを発揮できるようにしていかなければなりません。

まとめ


「新卒研修」は毎年入社直後のタイミングで行っているため、目的を忘れ、義務化し、同じ内容を繰り返してしまう傾向にあります。
しかし今、第四次産業革命の到来に加え、新型コロナウィルスへの緊急対応が世の中を大きく変化させたことで、全ての会社は新しい時代への対応を余儀なくされています。

新しい時代への対応は、時に今までの常識が邪魔をします。全く新しい感性を持った新卒社員の力をどのように活用できるのかが、会社の命運を左右するといっても過言ではありません。

今までのように既存の文化に慣れさせ、馴染ませるだけの目的ではなく、どのようにすれば力を最大限に発揮できるのか、という視点でカリキュラムを構築しなおすことが求められています。 この記事でご紹介したカリキュラム作成方法や実施のポイントを参考にしていただけましたら幸いです。

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